ごあいさつ
セーターの毛玉を本の間にはさんで色を楽しんでいた女の子。
母のかたわらで人形の洋服を作って喜んでいた女の子。
そんな女の子が
二十数年の月日が流れたある日・・・
古布のキルト作品を目にした。
その感動と衝撃は今でも忘れられない人生の1ページとなりました。
先人が残した「染め・織・柄」は素晴らしいの一語で、
ほおずりしたくなるような気持ちになります。
江戸期からの布を目の前にした時、それをどう生かすか、
薄くなった布、すすけて味のある布をどう生かすか。
古布を好きであればある程、奥が深く、二枚とない柄布を組み合わせ、
表現しながらのデザインは悩みでもあるが、楽しい挑戦の時でもあります。
従来のパターンつなぎも素晴らしいけれど、それを一歩飛び越えると、
キルトのアートとしての作成は無限の世界である。
そして パッチワークキルト、ちりめんのお細工もの、押絵と
それぞれの良さを組み合わせながら
この世界が祖母から母、母から娘へと受け継がれて欲しいと願い、
自然体で守っていく義務感を感じながら取り組んでおります。
藤元永美子